HOMEディーシーエヌ コラム



2013/12/29 もうひとつの視点

今年も残すところあと3日となった。
ちょうど1年前のコラムで以下のようなコメント書かせてもらった。


 今年は“利活用”という言葉をよく目にする1年だった。
 事業者目線でみれば、個人情報の有用性に関して、
 個人情報の利活用は推進されるべきとなるのだろうが、
 本人(消費者)からすれば、利活用に潜むリスク(目的外利用や漏えい)について
 十分な説明がなければ到底納得できるものではない。
 今回の“匿名化”についても同様である。
 何を基準に匿名化が達成されたと判断するのか。また誰が確認するのか。
 パーソナル情報と再連結されるリスクを完全に排除できるのか。
 これまで匿名化したつもりが個人を特定され
 本人より重大なクレームが発生した事故も少なくない。
 “利活用”が、真に消費者本人にとっての“利活用”になるよう願いたい。


きっかけは2012年9月18日に経団連より出された「2012年度経団連規制改革要望」において
ビッグデータの潜在的可能性を妨げているのは個人情報保護法だというものであった。


 7.情報・通信、放送分野
 (2)個人情報の利用制限に関する見直しA
   規制の根拠法令:個人情報保護法第16条1項
   要望の具体的内容:個人情報の利用制限について見直しを行い、収集した個人情報について
    個人を特定できない状態にした場合には、法の制限対象とはせず、第三者への提供や自由
    な目的での利用を可能にすべきである。
   要望理由:
    ・個人情報は、あらかじめ利用目的や提供先を特定して収集することが求められ、それを
     越えた第三者提供や利用は認められていない。
    ・一方、POSデータの購入履歴等はビッグデータとして大きな価値を持つと考えられる
     (2020年度には1兆円に達する(矢野経済研究所))。
    ・しかし現状では個人情報と紐づけられて収集されたために、単体では個人を特定できな
     いと考えられるこのような情報にも厳格な管理が要求される。そのために情報保有者の
     内部にとどまっている。
    ・ビッグデータビジネスは、さまざまな分野のデータの蓄積、組み合わせによって新たな
     価値を創出しようとするものであり、できるだけ自由に情報が流通できる環境が望まし
     い。個人を特定できなくした情報については、その他一般的な情報と同様に自由な流通
     を促進し、情報産業の活性化を図ることが不可欠である。


あれから1年上以上が経過したが状況はどうだろうか。
JR東日本のSuica履歴問題でも改めてプライバシーへの関心が高いことが示された。
事業者にとって収集・蓄積した膨大なデータを解析することで
新たなビジネスチャンスを切り開く可能性があることは繰り返し話題となったが
パーソナルデータを含む情報については来年以降に持ち越しとなった。


法の不備、匿名化、プライバシー保護、グローバル化対応など
解決すべき課題は多いが、個人情報保護法制の根幹に係るテーマだけに
着地点を見極めるにはもう少し時間が必要だろう。
根底にあるのは、合法か違法かの問題ではなく
プライバシーリスクというもの実態が見えにくいことではないだろうか。
誰しも自分のプライバシーは守りたいと考えるのが当然であり
その権利を脅かす可能性があると言われれば否定的になっても仕方がない。
言い換えればリスクに見合う“納得”が必要なのだ。


個人的にはビッグデータの利活用を推進することは賛成である。
特に医療分野においては公共性、公益性も高く
医療における様々な問題を解決する糸口になる可能性もある。
消費者にとって利活用のメリット、恩恵とは何か。
この根本的なテーマに向き合うことが
社会的コンセンサス形成に向けての第一歩ではないだろうか。



このページのトップに戻る