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2014/03/28 対岸の火事

元従業員による不正な情報持ち出しといえば
今月は東芝の提携先SanDisk日本法人の元社員の事件だろうか。
結局、不正競争防止法の営業秘密侵害容疑で逮捕された。
機密情報の開示先は韓国の半導体メーカー(SKハイニックス)だが
技術開発競争が熾烈な業界だけに
“情報”を売りたい側と、買いたい側の思惑が一致したのだろう。

逮捕された容疑者は52歳。
5年勤めたSanDisk日本法人を退職し、2か月後には転職。
年齢的にも余程の“何か”がないと転職は難しい状況だったことは
容易に想像できるが、理由はどうであれ違法であることは言うまでもない。
元社員は機密情報にアクセスできる権限を持っていたと思われるが
何故、不正コピーが検知されなかったのだろうか。

誤解を恐れず言えば、盗まれた側にも相応の責任がある。
NAND型フラッシュメモリーでサムスンと鎬を削る東芝にとって
今回の情報は最高機密に該当するものであったと思われるが
提携先のSanDisk日本法人ではどのような管理がなされていたのか。
機密データへのアクセスは当然モニタリングされていたはずであり
アクセス権限者のデータコピーも制限されていたと思うが
こうなってはすべて後の祭りである。
すでに東芝は1000億近い損害を受けたとして提訴に踏み切ったが
SanDiskもアメリカで訴訟を起こしたようである。
これを受けてSKハイニックスがどう出るか訴訟の行方も気になるが…。

こうした事件は今に始まったことではない。
元社員による不正な情報持ち出しと開示といった事件は
法的な罰則を強化してもなかなか沈静化しない。
不正行為に至った原因はいろいろと予想されるが
必ず動機があり、また不正が可能な機会があったことだ。
今回の場合も最高機密にアクセスできる権限があり
競合他社に転職した事実だけ見ればよくある事件である。

筆者は営業秘密の保護が重要であることを
もう10年以上も言い続けているが
こうした事件を見ると法改正が抜本的な解決になっていないことを改めて認識させられる。
知的資産は企業競争力の源泉であり
競争優位性を維持するためにも万全の管理が必要である。
リスクマネジメントの基本はまずリスクの存在を認めることである。
決して対岸の火事ではない。
結果的にリスクに向き合うか、今リスクに向き合うかの違いだけである。


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