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2014/09/22 被害者と加害者

ベネッセの“お詫び”の在り方について厳しい意見が多いようである。
筆者にもお詫びDMが届いたが
改めて文面を読んでみても違和感が残る。
詳細は「ベネッセお客様本部」サイトに掲載されているが
http://www.benesse.co.jp/customer/index.html
お詫びの品として、500円の金券が妥当かどうかは別として
新たに設立予定の「こども基金」について
お詫びの品で寄付を募るというのはどうだろうか。

記者会見において原田社長は
 「本来、やるべきことをやっていなかったことが原因で漏えい事故が
  起きたという意味では加害者である」
とコメントしており、同社に加害(過失)責任がある旨を表していた。
事件発覚当初、同社が被害者のような報道もあったが
真の被害者が顧客であることは言うまでもない。
これまでの漏えい事件でも同様の事象があり
まず経営者は被害者意識に囚われる傾向がある。
その後、時間の経過とともに真の被害者が誰かに気づき
どうすればこの窮地を挽回できるかということに思いが及ぶ。

こうした大規模漏えい事件について完全解決はない。
ひとたび流出すれば完全に回収又は削除することが不可能であることは
周知の事実であり、最終的には被害補償をどうするか…という問題に行き着く。
一方で、個人情報を流出された側にも「またか…」という
半ば諦めにも似た思いが過ぎるのも事実である。
しかし、今回は漏えいした個人情報の“質”と“量”が異なる。
今後も予想される2次被害について
因果関係を立証することは極めて困難になっていく。
結局、被害者自身が“自分で守る”しかないのである。

今回の場合は500円相当の金券となった。
漏えい件数を考えれば現実的な金額とも言えるが
同時にお詫びの品で「こども基金」の寄付を募るという
経営判断は賛同しかねるものがある。
極論すれば、加害者が被害者からお金を募るという構図である。
本来、「お詫び」と「こども基金」は別物であろう。
結果、お詫びになっていないという批判が巻き起こったのも
致し方ない面があると筆者も感じた。
危機管理は自社の事業継続ばかりに注意が払われるが
事業継続するためには“何が不可欠か?”
それは顧客からの信頼であり、再生への期待である。
今回は示唆に富んだ貴重な事案となることだけは確実なようである。


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